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空き家・相続最終更新:2026年6月

空き家を放置するとどうなる?相続登記義務化と「4つの選択肢」

「親の家を相続したけれど、誰も住んでいない」「いずれ考えればいい、と思って何年も経ってしまった」「正直、どうすればいいのか分からないまま放置している」

——そう思っている方に向けて、この記事を書いています。栃木で相続のご相談をいただくと、いちばん多いのがこの「とりあえず放置している」状態です。責めるつもりは一切ありません。住む予定もなく、売るのも気が引ける。気持ちはよく分かります。

ただ、結論から言うと、空き家は「放っておくほど不利になる」資産です。しかも2024年から相続登記が義務化され、「何もしない」こと自体にリスクがつく時代になりました。この記事では、放置すると何が起きるか・登記義務化で何が変わったか・選べる4つの選択肢を整理します。

空き家を放置すると、まず「お金」で損をする

「住んでいないのだから、お金もかからないだろう」——これが最初の誤解です。実際には、空き家は住んでいなくても費用が出ていきます。

  • 固定資産税・都市計画税は毎年かかり続ける
  • 火災保険、水道・電気の基本料、庭木の管理費などの維持コスト
  • 遠方にお住まいなら、見回りや片付けのための交通費・時間

さらに見落とされがちなのが、「特定空家」に指定されたときの税負担です。住宅が建っている土地は、本来「住宅用地の特例」で固定資産税が軽くなっています(小規模住宅用地なら課税標準が6分の1になる仕組み)。ところが、倒壊の恐れがある・著しく衛生上有害といった状態で行政から「特定空家」(またはその前段階の「管理不全空家」)に指定され、勧告を受けると、この軽減が外れます。結果として、土地の固定資産税が実質的に大きく跳ね上がるケースがあります(よく「6倍になる」と言われるのはこのためです)。

つまり放置とは「節約」ではなく、じわじわ支払いが増えていく選択なのです。

税額や特例の適用は、その物件の評価額・状況・自治体の運用によって変わります。具体的な金額は市区町村の課税明細や税理士へのご確認をおすすめします。

「建物の傷み」と「ご近所トラブル」は時間との勝負

空き家は、人が住まなくなった瞬間から傷み始めます。換気されない、水回りが使われない、というだけで建物の劣化は一気に進みます。

  • 雨漏り・シロアリ・湿気による腐食で、資産価値が下がる
  • 庭木や雑草が伸びて隣地へはみ出し、ご近所への迷惑に
  • 不法投棄・放火・不審者の侵入といった防犯リスク
  • 屋根や外壁の落下で、万一通行人にケガをさせれば所有者の責任

宇都宮や栃木県内でも、郊外や旧市街地を中心に空き家は増えています。「うちはまだ大丈夫」と思っているうちに、近隣からの苦情や行政からの連絡で初めて事の重さに気づく——そういうケースもあります。傷んでから動くより、傷む前に方針を決めるほうが、選べる手段は圧倒的に多く残ります。

2024年から「相続登記」が義務になりました

そして、放置のいちばん大きな変化がこれです。2024年4月から、相続した不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました。ポイントを整理します。

  • 相続で不動産を取得したことを知った日から、原則3年以内に登記の申請が必要
  • 正当な理由なく怠ると、過料(行政上のペナルティ)の対象になり得る
  • 2024年4月より前に相続した分も対象(すでに名義がそのままの実家なども含まれます)

「親が亡くなってから何年も名義をそのままにしている」という方は、決して珍しくありません。ですが、これからは「手をつけていない」こと自体がリスクになります。名義が古いまま放置されると、相続人がさらに亡くなって関係者が増え、話し合いがまとまらなくなる——いわゆる「権利がぐちゃぐちゃになる」状態に陥りがちです。こうなると、売るにも貸すにも、まず全員の同意と書類集めから始めなければならず、解決に何倍もの労力がかかります。

相続登記の手続き・必要書類・過料の判断は個別事情で異なります。具体的な進め方は司法書士・法務局へのご確認が確実です。

あなたが選べる「4つの選択肢」

では、どうすればいいのか。空き家の出口は、大きく次の4つに分かれます。どれが正解かは、ご家族の状況と物件次第です。

選択肢向いている方主な注意点
① 売る今後使う予定がなく、管理の手間を手放したい価格と時期の見極め
② 貸す将来また使う可能性を残しつつ空けたくないリフォーム費用・賃貸需要
③ 住む・使う活用の具体的なイメージがある維持・管理を続ける覚悟
④ 解体して土地に建物の再利用が難しく土地として動かしたい解体費+更地で税が上がる

① 売る

維持費・税負担・管理の不安から解放される、最もシンプルな出口です。現金化できるため、相続人が複数いる場合の「分けやすさ」という点でも有利です。

② 貸す

所有を続けながら収益化する方法です。ただし賃貸に出すには一定のリフォーム費用がかかることが多く、立地や需要の見極めが欠かせません。

③ 住む・使う

ご自身やご家族が住む、セカンドハウスや拠点として活用する選択です。思い出の残る家を手放したくない方にとっては、最も納得感のある道になることもあります。

④ 解体して土地にする

建物の傷みが激しい場合、解体して更地にするほうが土地として活かしやすくなることがあります。ただし解体費用がかかり、更地にすると住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる点には注意が必要です。

大切なのは、「どれを選ぶか」を決める前に、まず正確な情報をそろえることです。今いくらで売れそうか、貸せる需要はあるか、解体するといくらかかるか——この数字が分からないまま「なんとなく放置」が続いてしまうのが、いちばんもったいない状態です。

まとめ:放置のコストは、静かに増えていく

  • 空き家は住んでいなくても、税金・維持費がかかり続ける
  • 「特定空家」に指定されると軽減が外れ、税負担が大きく増えることがある
  • 建物は傷み、近隣トラブルや防犯リスクも時間とともに高まる
  • 2024年から相続登記は義務化。放置は名義の複雑化を招き、将来の選択肢を狭める
  • 出口は「売る・貸す・住む・解体」の4つ。決める前に、まず正確な数字をそろえる

放置は、何も決めていないようでいて、実は「不利になる方向へ自動的に進む」選択です。逆に言えば、今この記事を読んでいる時点で、あなたはもう一歩前に進んでいます。「うちの場合はどうなんだろう」と少しでも気になったら、そこが動き出すいいタイミングです。情報からお渡しします。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものです。税金・登記・法律の取り扱いは個別の事情により異なり、適用の可否はケースごとに判断が必要です。正確なところは税理士・司法書士などの専門家にご確認ください。

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